精製とは、コーヒーの実(コーヒーチェリー)から、種子を取り出すことです。この種子は生豆と呼ばれ、コーヒー豆になります。コーヒー豆の精製方法は大きく分けて3つあります。
コーヒーの実を収穫したら、程度の悪い豆を選り分けて、天日で乾燥させ、貯蔵庫で寝かせてから脱穀機にかけて、外皮や果肉などの余分な部分を取り除いて生豆にする方法で、古くから行われている伝統的な方法です。水で洗わないため風味が損なわれにくく、豆本来の自然な味が残ります。また、天日で干すと甘みが増すといわれています。
乾燥に要する時間は、果実の熟し具合により、完熟した実の場合は1~3日、未成熟の豆では2週間程度かかることもあります。また、乾燥状態を均一にするため、日に数度は撹拌を行います。この乾燥には、50度の温度で3日ほど感想を行う機械を使う場合もあります。
非水洗式での精製は、パーチメントが取り除かれにくく残ってしまうこともありますが、そのために水分蒸発を防げ、生豆の劣化が少ないといわれています。しかし、選別が人の目に頼る点や、精製に使用する石臼や天日乾燥時の管理状態などが悪いと、石の破片や虫、土などが混ざってしまうことがあります。
ブラジル、イエメン、インドネシアなどで採用されています。
コーヒーの実を収穫したら、フローターと呼ばれる水槽に入れ、枝や葉などの余計なものを選り分けたり、豆の比重によって選別をします(熟している豆は沈み、未熟の豆は浮かびます)。その後、外皮と果肉を果肉除去機によって除去します。この状態の豆はパーチメントと呼ばれる粘着質の膜で覆われています。これを取り除くために発酵槽につけ、発酵させてから水洗いして、パーチメントを取り除きます。こうしてできた生豆を乾燥機で乾燥させて完成させる方法です。ウォッシュトは、水洗いするため、混入物が少なくコーヒーの品質を一定に保ちやすくする利点があります。
水洗式は、非水洗式に比べて、コーヒー豆の見た目が均一になりやすく、商品の価値が高くなると考えられています。
その反面、作業工程が多いため、作業や衛生管理をいい加減に行うと、それによって品質が落ちてしまうこともあります。例えば、発酵槽の清掃をきちんと行わないと、発酵臭がコーヒー豆についてしまいます。また、設備投資や作業に手間がかかるために、全体的に生産コストが高くなる傾向にあります。
中南米、カリブ海諸国、アジア、アフリカで採用されています。
ブラジルで考案された、水洗式と非水洗式を組み合わせた精製方法です。果実を収穫後、フローターに入れて。収穫後、フローターと呼ばれる選別機でコーヒーの実を選別し、果肉除去機で外皮や果肉を取り除きます。パーチメントの状態になったところで、そのぬめり(ミューシレージ)を残したまま乾燥させてから、貯蔵庫で寝かせて、脱穀機にかけて生豆にします。
不純物が混じりにくく、一定の大きさの豆だけを得ることができるため、この方法で精製すると、非水洗式に比べて精製度が高くなります。さらに、選別後の果肉除去は非水洗式に準ずるため、発酵臭はつきにくく、非水洗式によって得られる豆の風味も生かされます。
以上の精製方法が一般的なものとして行われていますが、それ以外の特殊な方法としては、動物に食べさせて、果肉部分を消化させて糞と一緒に排泄される豆を洗って出荷する精製方法があります。
有名なもので、ジャコウネコの食べた糞を使う、インドネシアのコピ・ルアクがあります。そのほかにも虎、イタチ、鳥、象などから採取することもあります。