ピーベリー(丸豆)とは、コーヒーの果実の中に入っている種子が1つしかない果実のことをいいます。通常コーヒーの果実の中には1対の種子がはいっており、これを平豆(フラットビーン)と呼びます。しかし、まれに1つしか入っていないことがあります。ピーベリーができる原因は不明ですが、何らかの条件により、二つある種子のうちの一方に栄養がいかなくなり、もう一方だけが育った状態と考えられています。つまり果実の発育が悪い枝に起こりやすいといえます。
また、ピーベリーになる原因は、発育不良ではなく、ピーベリーがなってしまう変異種のコーヒーノキもあります。これはモノスペルマと呼ばれ、染色体の数が半分であることがその原因とされています。
ピーベリーだから風味が落ちるということはありません。しかし、ピーベリーと平豆では形が異なります。
通常の平豆は、種子が2つあるため、果実の中で互いが押し合い平たい楕円形のような形になります。しかし、ピーベリーは片方の種子が育たないため、果実の中で丸く生育します。この形の違いが原因で、焙煎時に火の通る時間が平豆と違ってしまいます。つまり、ピーベリーと平豆が混ざった状態では品質が落ちることがある、ということになります。そこで、ピーベリーは平豆と区別されます。
ピーベリーは特定のコーヒーノキで起こるわけではなく、どの豆でも起こり得る現象です。平豆にピーベリーが含まれる割合は5~10%と言われています。
ただしピーベリーは欠点豆ではありません。むしろ丸い形で、焙煎時に火が均等に通りやすいため、ピーベリーを集めてコーヒー豆としてパッケージされることがあります。この場合であっても、あえてピーベリーを集めるというよりも、スクリーンが小さい豆をそろえたら必然的にピーベリーの割合が増えた、という状態であることが多いようです。
ピーベリーは果肉部分にもカフェインが含まれており、食用にされることもあります。