ガス置換包装(ガス充填包装)とは、密封した包装内の空気を除去し、不活性ガスを充填することで、食品の酸化を防止したり、細菌や微生物の繁殖を抑制します。
日本工業規格(JIS)では、ガス置換包装の定義は、「内容物の充填時に容器から空気を吸引排気し、代わりに不活性ガスを充填して密封または、不活性ガスで強制的に容器内の空気を置換して密封し、物品の変質などを防止することを目的とした包装」とされています。そのために、容器にはガスバリア性の優れた包装材料を用いるべきとされています。
油脂、ビタミン、色素、香気成分などは、酸素と結合することによって酸化し、それが品質の劣化を招きます。また、カビや害虫も酸素がなければその生命活動を維持できなくなるため、結果として繁殖を防ぐことになります。
ガス置換包装に使用される不活性ガスは、窒素ガス(N2)、二酸化炭素・炭酸ガス(CO2)、酸素ガス(O2)などがあり、これらを単体または複合して用います。
窒素ガスは、無味・無臭・無色の、ほぼ反応性がない不活性ガスで、人体にも無害です。コーヒーのほか、菓子、ナッツ、削り節、日本茶などの包装にも用いられます。酸化防止、変退色防止、香気保存に効果はありますが、菌の繁殖を抑えることはできないため、カビや腐敗防止には効果は低いガスです。
二酸化炭素は、炭酸による微酸性を持つため、若干食味に影響を与えますが、菌の繁殖抑制や防虫作用があるため、生肉、ソーセージ、菓子類、豆類、穀類などの包装に使われます。